久々にポータブルカセットプレーヤーを買った!
〜 オーレックスから新製品の発売! 〜
今回は、新製品のカセットプレーヤーの使用レポートである。 レポートと言っても館長自身の備忘録程度の内容ではあるが、皆さんに何らかのご参考となれば幸いである。 今回購入したカセットプレーヤーは、「AUREX」の「AX-W10C」という機種。 「Aurex」と言えば、かつての東芝の高級オーディオブランドだが、オーディオ製品の衰退で一時期は姿を消していた。高級CDラジカセで復活したことは聞いていたが、最近ロゴが「AUREX」に変わったようだ。 そして、このプレーヤーは、何と、つい最近発売されたばかり。たまたまネットで見かけ、物珍しさと7,700円(税込)というお手頃価格にもつられ、思わずポチってしまった次第。新品のカセットプレーヤーを買うのは何十年ぶりだろうか。どういう音がするのか非常に気になるところだ。 |
ポチった翌日に届いた!
ネット通販の醍醐味と言える、この箱を開けるときのワクワク感!
外装の箱はこんな感じ。
おおっ! かつての東芝のポータブル製品のブランド「Walky」の表示がある!
箱を開けると、本体、USBケーブル、取説が入っていた
今回購入したのはカセットのフタが透明のタイプ。窓のついた白いフタのタイプもある。 それでは、本体の外観から見ていこう。 |
本体は真っ白で、外装は全てプラスチック製。全体に丸みを帯びている。本体の厚さが3センチくらいあるので、持ち歩くにはちょっとかさばりそう。 |
プラスチックのフタは全て透明素材なので中が丸見えである。こういう仕様は館長的には大変うれしい。 ただ、この透明フタは傷が付きやすそうなので、キレイさを保ったまま使い続けるのは難しいかもしれない。また、ちょっとしたことで欠けたり折れたりしそうな気もするのだが、大丈夫だろうか。 |
操作ボタン
(左から)停止、早送り、巻戻し、送り、録音
各ボタンの説明文字はフタの面を下側に置かないと上下が逆さまになってしまう。
フタを上にして使うことが多いので、上下逆ならよかったのにと思う。
操作は押しボタン式。ソフトタッチボタンではなく、メカニカル式なのでググッと押し込む必要がある。 ボタンの配置は分かりやすく押しやすいのだが、録音ボタンの色が薄く、送りボタンの隣なので、間違えて押してしまいそう。大事な録音が入ったカセットはこの機械では使わないようにするか、録音防止爪を必ず折っておいた方がよい。 説明書によると、録音・再生中にテープが終了した場合はオートストップが働くが、早送りや巻戻しの場合は必ず停止ボタンを押さないと操作が解除されないようだ。 また、再生中に巻戻しや早送りのボタンを押してはいけないとのことで、キューやレビューには非対応のようである。 |
サイドパネル(1)
(上左から)ボリューム(ヘッドホン用)、外部入力端子、ヘッドホン端子、USB端子(電源入力用なので、デジタルの入出力には非対応)
この面もフタを下にして置かないと文字が上下逆になってしまう。
サイドパネル(2)
この面だけは他の面とは違い、フタを上側に置くと文字が正立する。(なぜ??)
右下にあるスイッチは「バーチャルサラウンド」のON,OFFスイッチ。
ヘッド周り
上の画像の中央にある録再用ヘッドは小さめである。また、右にある青色の消去ヘッドはマグネット式。つまり、単なる磁石なので電線はつながっていない。 この機械、録音もできるのだが、交流バイアスではなくDCバイアス方式なので、録音の音質やSN比については多分・・・(ry 購入したモデルはフタが全面透明なので、中のカセットがシースルーである。そこで、試しにいろいろなカセットを入れてみた(笑)。 |
それぞれがなかなかよい感じである。
本体が白なので、同色のホワイトのカセットがよく似合う。
特に、右の「PS1」とは相性が良くカッコイイ!
現行「UR」。これもなかなかよい感じ。
それでは、遊んでばかりいないで試聴に移ることにしよう。(そもそも、この学芸部自体が遊びのようなものなんだが。笑) この製品は単三乾電池2本、または、USBケーブルでの給電で動作する。 Bluetoothに対応しておりワイヤレスイヤホンも使えるが、残念ながら館長は持っていない(orz)ので、有線のヘッドホンを使うことにした。 とりあえず電池で動かすことにし、他のデッキで録音したテープをセットして、いざ再生! ・・・・・ ほーーー。なかなか良い音である。 ローブースト気味ではあるが、まとまりの良い、輪郭のはっきりした感じの音で好感が持てる。 おそらく高音はあまり伸びていないとは思うのだが、昨今かなりハイ落ちしている館長の駄耳ではあまり気にならない(笑)。 ワウフラもあまり気にならないレベルである。 それでは実際のところはどうなのだろうということで、博物館の学芸部らしく、いろいろと実測してみることにした。 (以下の結果は、あくまで購入した機器の実測であり参考値です。) まずは、お約束の周波数特性から。 |
周波数特性
20〜20kHzのスイープ信号を-10dBで録音したテープを再生
(グラフの縦軸目盛りは実際より-20dB程度となっています。)
(画像をクリックすると拡大されます。)
10kHzより先が激落ちしている(笑)。もう少し伸びているかと思ったが、こんなものかもしれない。 低音が強調されているように思ったが、20〜10kHzまでは意外とフラットで優秀である。逆に100Hz以下が20Hzまでさほど落ちていないのはスゴイ。 次に、システムノイズの測定。 |
ノイズレベル
カセットを装着しない状態で再生ボタンを押し、その出力を測定。
(グラフの縦軸目盛りは基準出力レベルに合わせた。)
(画像をクリックすると拡大されます。)
100Hz以下のノイズが結構大きい。測定上は1kHz以上のノイズはほとんど出てこないが、テープ再生時は静音時のノイズが結構気になるレベルである。テープの負荷などによって大きさが変わったりするので、モーターからのノイズが影響しているのかもしれない。 50Hz以下の周波数特性がさほど落ちていなかったのはノイズのおかげだったりして・・・。 最後にワウフラの測定。 本来ならワウフラメーターという機材を使うのだろうが、生憎と所有していないので、パソコンのソフトで測定することにする。 |
ワウフラッター
SONY製テストテープ「WS-48A」(3kHz)を再生し測定。
(画像をクリックすると拡大されます。)
PEAKで0.44%、RMSで0.25〜0.3%前後という結果に。 往年の高級デッキには遠く及ばない数値だが、そもそもそういうものと比較してはいけない(笑)。 聴感上はあまり気にならないので、「ワウ」より「フラッター」成分の方が多いのかも。 なお、再生周波数が「3077.4Hz」となっているように、再生スピードがちょっと速いので、音楽のテンポに違和感が感じられる。(これは製品の仕様ではなく個体差だと思うが。) まあ、実測値はともかくとして、こういうものは細かいことは気にせず気楽に使うのが一番である。 ということで、しばらくの間、他のデッキで録音したカセットやミュージックテープを楽しむことにした。 先述したように、この機械には「バーチャルサラウンド」というスイッチがあり、ONにすると「左右のチャンネルから聴こえる音の時間差、音量差などを音響処理し、音像の方向を仮想的に調整することによってより広い音場や臨場感を提供します。」とのことなのだが、音がゴテゴテしすぎて残念ながら館長の好みには合わなかった。やはりシンプルがベストである。 ところで、この機械はノーマルポジションのテープ専用で、強力なバイアスが必要なハイポジやメタルテープでの録音はできないのだが、これらのテープを再生することは可能である。 再生イコライザーがノーマル用(120μs)に固定されているため、70μsでの再生を前提としたハイポジやメタルテープの場合、理屈上はハイ上がりになってしまうのだが、この機械の場合は、そもそもが件の周波数特性なので、現実的にその心配は全く無い(笑)。 それどころか、聴感上はハイ落ちの特性が多少カバーされたような改善が感じられる(笑)。 さらに、ハイポジやメタルでガンガン録音したパワフルテープを再生すれば、それなりに迫力あるサウンドを聴かせてくれる。 これは結構おもしろい!! ということで、今度はハイポジやメタルのカセットを楽しんでいたが、段々とノイズが大きくなってきたことに気が付いた。 故障かと思ったが、念のためUSB電源に切り替えたところ大幅に減少。電池の消耗が原因と分かった。電源の安定化回路がノイズを発生しているのかもしれない。 |
多少辛口のコメントをしてしまったところもあるが、今時、ウォークマンタイプのカセット機器を、しかもこの値段で発売してくれたことに感謝し、賞賛したい。 こういう機器が売れることで、カセットのユーザーが少しでも広がり、カセットテープというものが延命していってくれたらと願う。 |
○スペック (取扱説明書より)
(カセットテーププレーヤー部)
・ | トラック方式:4トラック、2チャンネル |
・ | 録音方式:DCバイアス録音 |
・ | 消去方式:マグネット消去 |
・ | 早送り・巻戻し時間:約3分(C60) |
・ | 推奨テープ:ノーマルカセットC60 |
(Bluetooth部)
・ | バージョン:Bluetooth標準規格Ver5.0 |
・ | 対応プロファイル:A2DP、AVRCP |
・ | 使用周波数帯域:2.4GHz帯 |
・ | 通信見通し距離:約10m |
(共通部)
・ | 実用最大出力:2.5mW+2.5mW(32Ωイヤホン) |
・ | 外部入力端子(AUX):φ3.5oステレオミニジャック |
・ | ヘッドホン出力端子:φ3.5oステレオミニジャック |
・ |
電池持続時間:TOSHIBA単3形アルカリ乾電池使用時 テープ再生時:約16時間 |
・ | 電源:DC5V、単3形乾電池×2本 |
・ | 外形寸法:94(W)×33(D)×121.5(H)mm |
・ | 質量:約0.2kg(乾電池含まず) |
・ | 付属品:USBケーブル、取扱説明書(保証書付) |
(おわり)
(本文の記述は、全て館長の個人的な感想に基づいています。
また、機器の実測結果は当館で購入した個体のものです。)
(2023/07/31 一部修文)
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