これぞ It's a SONY ! 造り込まれた名機!

* 右下は、有線リモコン「RM-30」 *
○このデッキの特徴
SONYが1977年頃に発売したカセットデッキで、装着したカセットを正立透視できるいわゆるコンポスタイル(カセットの装着や操作を前面で行うことができ、アンプやFMチューナーなどと同様に積み重ねて置けるタイプ)のタイプである。 製品名に「U」が付いているとおり「TC-K7」の第2世代としてリファインされたデッキである。 2ヘッドのオーソドックスなデッキであり、派手な新機能は装備していない。 しかし、2モーター構成、ロジカルコントロールによるフェザータッチオペレーションなど、高級機としてあるべき基本は踏まえつつ、ボリュームやスイッチ類の配置、形状は操作性をよく考えられおり、細部まで造り込まれている。 外装もさりげなく豪華な仕様となっており、フロントパネルはヘアライン仕上げされた厚手のアルミ材を使用、また、各ボリュームノブやスイッチのつまみ部分にもアルミの無垢材を滑り止め加工やヘアライン加工を施して使っているなど手が込んだつくりとなっている。 |

* スイッチの根元部分もきちんと加工されている! *
なお、フロントパネルがガンブラック仕上げの「TC-K7BU」もあった。(定価で5,200円高の105,000円) |

* ↑カタログ的には、お高いK7BUの方がメインである(笑) *
目新しい機能を搭載して製品アピールすることなく、オーソドックスではあるがその分基本性能がしっかりしていて、落ち着いた高級感の漂う当時のソニーらしい完成度の高いカセットデッキである。 |
○操作性
一言で言うと、操作性は抜群で使いやすいデッキである。 40年近く経過するデッキであるが、各所の動きは今でも健在である。 イジェクトボタンを押すと、カセットホルダーがエアダンプによりスーッと開く(エアダンパの羽を回す歯車の音は若干大きいが)。 カセットを装着するとリッド奥の照明が点灯。テープの残量がはっきり確認できる。 |

* ↑カセットドアを開けた状態(照明消灯) *

* ↑カセットドアを閉めた状態(照明点灯) *
(画像はいずれもカセットリッドの透明フタを取外して撮影しています。)
録音レベルのつまみは回転式であるが左右を独立で動かせる。(右のレベルだけを変える場合に左をおさえておく必要がない。) 回転も堅すぎず滑らかすぎず適度な粘りがあり、レベルメーターが大型であることもあって微妙な調整も容易である。 メーターはVU型であるが、LEDのピークレベルインジケーターがついているので、オーバーレベルに対するチェックも容易である。 インジケーターはメータの左側に、0、+4、+8dBの3つが縦に並んでいる。 「TC-K7」は+6dBで点灯する1つのみだったため、この部分が「K7」と「K7U」との見た目の最も大きな違いとなっている。 |

* VUメーターとピークレベルインジケーター(左側) *
録音開始はソニーお約束の録音ボタン+送りボタン同時押しである。 ポーズで録音待機させる場合は、まずポーズボタンだけを押し、続けて「録音ボタン+送りボタン」の操作で録音ポーズの状態になる。ポーズを解除するには、送りボタンではなくポーズボタンの方を再度押す。これもソニーデッキのお約束である。 操作の切り替えはロジック回路のコントロールによりプランジャーが行っており、停止→再生、録音ポーズ→録音開始の応答は素早い。発売当時全盛だったFMエアチェックに威力を発揮したであろう。 ダイレクトチェンジも可能で、早送り・巻き戻しから再生操作に入る場合はテープ保護のために一旦停止状態になり、一瞬の間の後に次の動作に移るようになっている。この「間」も絶妙である。 ファンクションスイッチ自体はフェザータッチで大変軽い。ボタンの色や形状、ボタン周りのしつらえは当時のソニー独特のもので、分かりやすく、なおかつ、操作することを楽しませてくれるようなデザインになっている。 |

* ファンクションスイッチのデザインと配列 *
その他のスイッチ類はレバースイッチが基本となっており、使いやすく配置されている。 ドルビースイッチだけは回転式で、これはデザインということもあろうが、録音中に不用意にスイッチが切り替わることを避ける狙いがあるものと思われる。 さらに、誤操作を避けるため、ドルビーONの場合は表示が点灯するようになっている。 |

* ドルビースイッチ *
40年近く経つ機械なので、さすがに当初の性能100%を維持してはいないと思うが、良質ですっきりとメリハリのある所謂「ソニーサウンド」は今でも健在で、2ヘッドのフラッグシップ機であったことをうかがわせる力を持っている。 これは、磨耗に強いF&Fヘッドの性能が維持されているということも大きいと思われる。 |

* 中央が録再用のF&Fヘッド *
しかし、80年代以降の高級3ヘッド機のように、ソースとテープの音の区別がつかない、というレベルとは違う。ソースに較べるとどうしても若干音に丸みがあるというか、繊細さがやや失われることは否めない。 とは言うものの、それでもいい音である。70年代的ではあるが。 ソースと聞きくらべると違いはあるが、テープだけしばらく聴いているとこれでいいと思ってしまう。 カセットデッキがオーディオ用の録音機として完成されつつあった時代の優秀機だと思う。 |
○機能 他
当時のカセットデッキに求められていた機能はひととおり備えている。 ・ドルビーノイズリダクション(Bタイプ) ・バイアス、イコライザー独立3段切り替えテープセレクター ・メモリーカウンター(オートストップ、オートプレイ) ・タイマー録音、再生 ・録音ミュート ・マイク入力(ライン入力とのミキシング可) その他の機能として、次のような装備もあった。 ・録音リミッター ・後追い録音 ・フロント・ライン入力ジャック(リアパネルのライン入力より優先) ・リモコン端子(有線リモコン「RM-30」は別売) ・出力ボリューム(ライン、ヘッドホン独立型) |
○スペック
・ヘッド:録再1、消去1 ・モーター:キャプスタン用=FG付き周波数サーボモーター(グリーンモーター)1、リール用=ハイトルクモーター1 ・SN比:60dB(ドルビーOFF、ピークレベル、デュアドカセット) ・周波数特性:20〜18,000Hz(デュアドカセット) ・ワウ・フラッター:0.045%wrms ・ひずみ率:1.3%(デュアドカセット) ・大きさ:430(W)×170(H)×310(D) ・重さ:10s ・消費電力:26W |

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