「Sound Space」(新・ナカミチ館)におじゃましました!
〜ナカミチ製品の聖地で極上のカセットサウンドを満喫!〜
前回のマクセル史料館に引き続き、今回も訪問シリーズである。 今回訪問したのは「Sound Space」というところ。 Nakamichi製品の世界的なコレクターとして知られ、そのコレクションの音を聴ける「ナカミチ館」(非公開施設)の館長をされているTさんが、新たにコレクションの展示・試聴・メンテナンスをするために完成させた施設である。 T館長のコレクションについては、2020年に発刊された「ナカミチ・コンプリートブック」(ネコ・パブリッシング刊)で紹介されており、ほぼほぼ全制覇に近い173台の製品(2023年4月現在)が網羅されている。 T館長のご自宅にある「ナカミチ館」には館長も数年前にお伺いしたことがあるが、とにかく凄いコレクションだ。 しかし、スペースの関係や取材対応のため、別に専用の施設を設けることになり、都内にあるマンションの一室をフルリノベーションして、この「Sound Space」の落成に至ったとのこと。 このたび、T館長からご招待をいただき、早速お邪魔させていただいたという次第なのである。(なお、本施設は個人の施設であり一般には公開していません。) 「Sound Space」というネーミングは、かつてのナカミチのオーディオシステムのシリーズ名が由来になっているとのことだ。 ちなみに、こちらでは約100台の製品を収納しているとのことである。 |
○ 圧巻のコレクション群!
それでは、早速内部をご紹介しよう。 館内には、壁一面の白いラックにほとんど隙間無くナカミチ製品が配置されている。 オーディオ専門店の試聴室のようだが、全てがナカミチ製品というところが凄い。実に圧巻である。 オールドナカミチから末期の製品まで、ナカミチの歴史が展示されているかのようだ。 まずは、背面の壁のラックの機材から。 |

↑(上から)481Z,482Z,680,680ZX,660ZX,670ZX (いずれもカセットデッキ)
(680ZXの前にある「ZX」テープは半速で録音された試聴用テープ)

↑(上から)BX-1(Silver),BX-1(Black),BX-2,CR-20,CR-30,CR-40
(いずれもカセットデッキ)

↑(上から)DR-1,DR-2,DR-10(同)

↑(上から)LX-3,LX-5,550(同)
一番下はSONY製のセレクター(このセレクターに接続されている機材は即試聴が可能!)

↑(上から)600,600U,580,580M(同)

↑(上から)1000,1000ZXL(同)

↑(上から)DS-170(オーディオタイマー),OMS-50U,OMS-70(CDプレーヤー)
582,581,582Z,581Z,700U(カセットデッキ)

↑(上から)700ZXL,1000U,500(カセットデッキ)

↑(上から)CD-4,MB-3S,MB-2S,MB-1S,CD Player4,CD Player3
(いずれもCDプレーヤー)

↑(上から)ZX-7,ZX-5,RX-202,RX-303,RX-505(カセットデッキ)

↑(上から) OMS-30,OMS-40,OMS-50(CDプレーヤー),
Tuner2,ST-3S(チューナー),IA-4S(アンプ),
Cassette Deck2,Cassettte Deck1,Cassette Deck1.5(カセットデッキ)

↑(上から) Amplifier2(アンプ),IA-1Z(AVアンプ),IA-1(アンプ)

↑(上から) CA-1(AVプリアンプ),CA-50U,CA-50(プリアンプ),
Receiver1(レシーバー),Amplifier1(アンプ)

↑(上から) SR-40,TA-30(レシーバー),DVD-15(DVDプレーヤー),
AV-10(AVレシーバー)

↑(上から) 730R(リモコンユニット),730(レシーバー),
PA-1(5ch パワーアンプ),PA-50,PA-70(パワーアンプ)
大体の雰囲気はお分かりいただけたかと思うが、とにかく製品数が多いので全ての紹介はとてもしきれない。 詳細は、「ステレオ時代 Vol.23」(2023年3月31日発売)に掲載されているので、ご興味のある方はこちらからご購入いただきたい。 一方、壁の手前にはメインのラックがあり、T館長選りすぐりの試聴用リファレンス機材がしつらえてある。 |

↑(上から) DRAGON-CT(レコードプレイヤー),ST-70(チューナー),
CA-70(プリアンプ),DRAGON CD(CDトランスポート),
DRAGON DAC(D/Aコンバーター),
dbx Model 007(プログラムルートセレクター),
DRAGON(カセットデッキ),PA-50CE(パワーアンプ)
スピーカーはナカミチ製ではなく、敢えて「音工房Z」のキットで10pフルレンジ1本の「バックロード・バスレフ」型を使用。部屋全体のカラートーンに合わせ白色塗装されている。(ナカミチ館の本館ではB&W801をお使いだったと思う。) |

↑ 10pフルレンジユニット使用のスピーカー
なお、壁のラック内の機材も単に陳列しているだけではなく、棚に設けられた電源コンセントにつながっている。一部は出力もセレクターにつながっているので、即音出しが可能だ。 また、棚のコンセントはタイマーでの一斉電源投入が可能で、カセットデッキの性能維持のため定期的に自動で再生動作を行っているとのことである。これだけの機材を動態保存するというのは大変なことだと思う。 |
○ いよいよ試聴タイム!
一通り機材を拝見したところで、いよいよ試聴をさせていただくことになった。 その音や如何に!? 実に楽しみだ。 音源は勿論カセットである。そして、デッキはメインラックの「DRAGON」。 まずは、T館長ご用意のミュージックテープを再生。 ・・・おおっ、素晴らしい!!! 10pユニットとは思われない迫力ある低音と、キレの良い高音。全体にきめの細かい高解像度な音である。モニター試聴にはうってつけだ。 続いて、館長が持参したカセットを再生していただいた。 持参したのはデモテープとダイレクト録音のリファレンス用テープ。もちろんナカミチのカセットである(笑)。 |

↑ (左上)「音の響き」アリスやアンリ菅野の曲が入っており、同じ内容がA面はドルビー、B面はハイコムUでエンコードされて録音されている。
(右上)A面のみ3曲録音されており、B面はブランクというデモテープ。
(下)ナカミチの「Reference Recording」シリーズのダイレクト録音カセット。使用しているTDKのメタルテープは事前チェックがされているらしい。
折角なので、わがままを言って「DRAGON」以外のデッキでも再生していただいた。 いずれも素晴らしい! それぞれの製品の個性も感じられる。 しかし、再生ヘッドの自動アジマス調整機能「NAAC」を持つ「DRAGON」の再生能力はやはり他より頭一つ抜きん出ていると感じた。 それにしても、そもそもの話、どれもがカセットを再生しているとは思われないほどのハイクオリティな音というのが何とも凄い(笑)。 サウンドに聴き惚れ、時を忘れてしまいそうだ。 |
○ その他あれやこれや
ラックの裏側には、T館長が製品の修理や調整作業を行うためのスペースがある。 拝見しながら、ゴムベルトや豆電球など修理用パーツの調達の難しさなど、レトロデッキ愛好家共通の話題で盛り上がった(笑)。 T館長の場合、錆びたり塗装が劣化した化粧ネジを新品に交換するため、ネジを箱買いしているとのこと。そのこだわりには脱帽である。恐れ入りました。 また、ここで大変貴重なお宝を見せていただいた。↓↓ |

オートリバース機「RX」シリーズのトランスポート部分だけを取り出したディスプレイ
本物をそのままディスプレイ化したもので、スイッチを押すとカセットのトレイが手前に動き、カセットを裏返す動作をする。 実際の製品では手前からしか動作が見えないが、このディスプレイでは機構全体の動きが見渡せる。実に面白い。 なお、装着されているカセットテープは、ディスプレイの動作を分かりやすくするため、A面とB面で色の違うハーフを組み合わせたT館長自作のものだ。 お宝は、もう一つあった。↓↓ |

こちらは680系のトランスポート部分のディスプレイ
これも上のスイッチで動作する
写真は撮っていないが、他にもナカミチ関連のいろいろな販促グッズなどがあった。 中には、官公庁のオークションで大量入手したものもあるそうだ。羨ましいっ(笑)。 また、こちらには置いてないが、その昔ナカミチが「FIDELA」ブランドで販売していたオープンリールデッキも所有されているとのこと。さすがである。 |
○ ここはナカミチの聖地だ!
ナカミチの製品というのは概して高価格ということもあるが、他社の製品とは一味違う独特の雰囲気というかオーラを持っていると思う。 そのナカミチ製品が一堂に会している姿は実に圧巻。 この「Sound Space」は正にナカミチの聖地、パワースポットと言えるものだと思う。 ナカミチ談義に花が咲き、気が付けば3時間が経っていた。 最後に、記念品をいただいた。↓ |

「Sound Space」オリジナルボールペン
今回はナカミチの極上のカセットサウンドを堪能させていただいただけではなく、美味しいエスプレッソのコーヒーまでご馳走になり、正に至福のひとときを過ごすことができた。 T館長様、大感謝です! |
(「Sound Space」はT館長個人のコレクションルームであり、一般には公開していません。直接のお問い合わせ等もお控えください。)
(本文の記述は、全て館長の個人的な感想に基づいています。)
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